ネコの死因1位ともされる慢性腎臓病の治療に、これまでとはまったく異なるアプローチの新薬が登場しようとしています。開発を進めるAIM医学研究所(東京)は治験をすでに終了し、4月に農林水産省への承認申請を行う計画です。 順調に進めば、早ければ2026年内にも実用化される見通しです。
ネコは加齢とともに腎機能が低下しやすく、アニコムグループの「家庭どうぶつ白書」によると、5歳で死因の27.1%、10歳で27.2%、15歳では29.2%が腎臓系の疾患となっており、いずれの年齢でも死因1位です。15歳以上の猫では80%以上が慢性腎臓病に罹患しているというデータもあります。長年「治らない病気」として、飼い主は見守ることしかできない状況が続いてきました。
この現実を変えようと立ち上がったのが、免疫学者の宮﨑徹所長です。宮﨑所長は1999年、血液中のタンパク質「AIM」が体内の老廃物を排除する働きを発見。2016年には、ネコのAIMが先天的に機能せず、腎臓内にごみが蓄積して腎臓病になりやすいことを明らかにしました。この発見をもとに、ネコに正常なAIMを直接投与する治療薬の開発をスタートさせました。
研究に期待する愛猫家から3億円近い寄付が寄せられ、宮﨑所長は東京大学教授を辞してAIM医学研究所を設立。製薬ベンチャー「IAM CAT」も立ち上げ、台湾に製造拠点を確保して2025年5月から全国26病院で治験を開始しました。
治験に先立つ臨床研究では、投与から5年以上経った現在も元気に生存している猫がいるといいます。「延命」ではなく「生活の質を保ちながら長生きしている」状態です。宮﨑所長は「臨床研究とほぼ同じ効果が得られた。できる限り早く実装したい」と語っています。
治療は正常なAIMを血液中に注射する方法で、投与されたAIMが腎臓内の老廃物にくっつき、それをマクロファージが除去することで腎機能が上向く仕組みです。また、まだ腎臓病を患っていない猫への予防投与としての効果も期待されています。
注意点として、この新薬は完治を約束するものではなく、壊れた腎臓細胞を元に戻すことはできません。しかし病気の根本プロセスに初めてアプローチできる点で、大きな一歩といえます。また、承認審査には一定の期間が必要で、実用化は早ければ2026年内、または2027年春ごろとなる見込みです。
データまとめ
- 開発:AIM医学研究所・宮﨑徹所長(免疫学者)
- 治験期間:2025年5月〜2026年初頭・全国26病院で実施
- 承認申請先:農林水産省(2026年4月)
- 実用化見通し:早ければ2026年内・または2027年春ごろ
- 15歳以上の猫の罹患率:約80%以上
SNSでは「やっと希望が見えた」「うちの子にも間に合ってほしい」という声があふれ、「去年腎臓病で亡くした愛猫のために、これから腎臓病になる子たちが救われることを願っています」という声も見られます。25年にわたる研究と、愛猫家たちの思いが結実しようとしています。
出典: 産経新聞・Yahoo!ニュース、AIM医学研究所公式サイト、IAM CAT公式サイト、アニコム家庭どうぶつ白書



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